危機にどう対処してきたのか ◆第一回レジュメ
災害都市・江戸の危機管理 明神塾 レジュメ1
◎渋沢栄一が敬愛した寛政改革の立役者松平定信
地震や火災などに何度となく襲われた江戸の町を、災害に強い都市に変えたのが寛政改革の立役者松平定信でした。そんな定信を、明治の経済界を支えた渋沢栄一は深く尊敬します。渋沢が敬愛した定信による江戸の危機管理を明らかに・・・
◆講座の趣旨 
 戦争がなく平和で安定していたというイメージが強い徳川三百年の江戸時代。しかし実態は、災害や飢饉をはじめ政治・社会問題が常に山積していました。江戸の人々は社会的危機にどう対処してきたのか。江戸時代のリーダーと人々の危機管理の諸相を学び、現代社会への教訓と智恵の継承をはかりたい。
 ◇◆◇はじめに◇◆◇
 地震や火災などに何度となく襲われた江戸の町を、災害に強い都市に変えたのが寛政改革の立役者松平定信でした。そんな定信を、明治の経済界を支えた渋沢栄一は深く尊敬します。渋沢が敬愛した定信による江戸の危機管理を明らかにします。
1.渋沢栄一と松平定信
(1)渋沢栄一の生涯  武州の豪農の家に生まれる(天保11年・1840)/攘夷運動に走る/徳川慶喜の仕える(元治元年・1864)/フランスに渡り西洋の経済を知る(慶応3年・1867)/大蔵省に入る(明治2年・1869)/下野して実業家となる(明治6年・1873)/実業界を引退後、慶喜・定信の伝記を編纂する/昭和6年(1931)死去・享年92才 (2)松平定信の生涯  徳川吉宗の孫として生まれる/白河藩に養子入り/天明の飢饉を乗り切る/幕府老中に抜擢(天明7年・1787、定信30才)/寛政改革を断行する(寛政5年・1793まで)/隠居後、楽翁と名乗る(文化9年・1812)/江戸で死去(文政12年・1829)
2.江戸の飢饉と災害
(1)災害の頻発と社会不安  火災都市江戸/大名火消・定火消・町火消/火除地と瓦葺の奨励/江戸の震災/元禄16年(1703)11月の地震と宝永4年(1707)11月の富士山噴火 (2)江戸の三大飢饉  享保の大飢饉(享保17年・1732)/天明の大飢饉(天明2〜7年・1782〜7)/天保の大飢饉(天保4〜10年・1833〜39)/三井家など大商人による町方施行  (3)江戸の米価高騰と天明7年の江戸打ちこわし  気候不順と凶作/諸藩による津留/商人の買占め・売り惜しみ/米価暴騰と米屋打ちこわし/町奉行所の無力さ露呈/先手頭長谷川平蔵出役/政権交代
3.寛政改革と江戸会所の設立(図参照)
(1)江戸の町の行政システム  町奉行所の陣容/与力・同心・岡っ引・下っ引/町年寄・町名主に行政事務を委託/地主(家持)・地借・店借/町入用という町の行政・運営費(地主が拠出) (2)江戸の町法改正  町入用の増加は地代店賃に跳ね返る/消防費が大きなウェートを占める/町奉行所、消防・祭礼費の縮減や書類作成の簡略化などを指示 (3)七分積金令  江戸全体で町入用は年間平均15万5140両(天明5年・1875〜寛政2年・1790)/町に申告させた町入用節減高は37000両/7割の約26000両を積立金として地主に出金命じる/江戸っ子の救済費備荒貯蓄費にあてる (4)罹災民の救済(表参照)  積金の徴収・管理にあたる町会所を設立/向柳原の馬場跡地に籾倉を建設/町奉行所からの出役/積金の運用、救済事務、米穀の購入・詰め替えを監督
4.罹災民の救済(表参照)
(1)災害の頻発と社会不安  火災都市江戸/大名火消・定火消・町火消/火除地と瓦葺の奨励/江戸の震災/元禄16年(1703)11月の地震と宝永4年(1707)11月の富士山噴火 (2)江戸の三大飢饉  享保の大飢饉(享保17年・1732)/天明の大飢饉(天明2〜7年・1782〜7)/天保の大飢饉(天保4〜10年・1833〜39)/三井家など大商人による町方施行  (3)江戸の米価高騰と天明7年の江戸打ちこわし  気候不順と凶作/諸藩による津留/商人の買占め・売り惜しみ/米価暴騰と米屋打ちこわし/町奉行所の無力さ露呈/先手頭長谷川平蔵出役/政権交代
5.明治への継承
(1)東京会議所の設立  明治維新後も積金と囲い米の運用/町会所廃止、営繕会議所の設立/積金を道路・橋梁・水道の修理費にも充てる/東京会議所に改称 (2)渋沢栄一が管理・運営の責任者に  東京の実業家が積金と囲い米運用を任せられる/渋沢、東京会議所の会頭に/積金を元に都市整備、瓦斯事業、商法講習所の経営、東京市養育院運営に携わる/東京会議所廃止、その業務は東京市に吸収/東京の文明開化に積金(共有金)が果たした役割
 おわりに
 栄一の死後、昭和13年(1938)に定信の伝記『楽翁公伝』が栄一の名前で刊行される <
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